今を映すテレビ

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 二人の少年、AとBは放課後学校から少し離れた所にある雑木林へと足を踏み入れた。 「本当にこの辺にあんのか?」  尖った口調で言うBにAは自信満々に答える。 「あぁー!前に一人で探索しに行った時見つけたんだ」  舗装されていない不安定な足場を歩き進め小川を渡ると、四方が木に囲まれた真ん中に古びた民家があった。  Bは「本当にあったんだな」と驚き喜ぶ。 「誰も住んでいない事は確認済みだ!どうだ秘密基地にはちょうどいいだろ!」  中に入ると長年使われていないからか物と言う物がどれも埃っぽかった。  掃除してあればよかったのになとBが厭味ったらしく言ったのでとAは 「二人の秘密基地なんだからお前も掃除するんだよ」と言い返す。  玄関を入って右手にトイレその先にキッチンその奥にお風呂。キッチンの左側に居間、その奥に四畳半の部屋が二部屋あった。二階はない。  一番奥の部屋に行ったBは大声で「テレビあんじゃん。Aー!このテレビって見れる?」  手前の部屋でどこから片付けようか考えていたAは、Bのもとへ行き「アンテナが通ってればな」とつぶやくように言う。  Bがリモコンの電源を押すと画面は砂嵐でザァーザァーと音だけが響く。 「ちぇー」  残念そうにするBはリモコンのボタンを強く適当に押した。  つかないだろうと思っていたががやがやと音だけが聞こえた後、少年たちが住む街が映し出された。  二人は自分たちの住む街がテレビに映っており、盛り上がったがリポーターらしき人もおらずただ街の様子が映っているだけで退屈さを感じ盛り下がった。  チャンネルを変えようとしたがボタンを押しても反応がなく。壊れているんじゃないかと思い電源を押そうとした瞬間。画面が切り替わり二人のいるすぐ近くが映し出され、Bはカメラ越しにテレビに映ってみたいと思っていたため 「ちゃんと俺がテレビに映った所見とけよ!」  とAに言い放ち民家を出てその場所へと向かった。  Aが画面を見ているとうろうろとしているBの姿が映り、Aはこれを映してるカメラが見つけられないのかと不思議に思った。
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