それぞれの……。

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それぞれの……。

~翔・駿~ 「駿、お疲れ様。 ステージで挨拶するお前が最高だった。」 「俺?」 「そっ……駿。俺の自慢のお嫁ちゃん。」 「翔……好き。」 「知ってるよ?」 「翔……離さないで……」 「駿………俺は死んでもお前を離さない。 コレ、書いてくれる?」 ………… 「翔?」 「嫌か?」 駿は俺に抱きつき大声で泣いた。 ……… 「日本に帰ったら義弥に手続きしてもらおうな?」 俺と駿の甘い夜は続いた……。 ~陸・空~ シュンとする、くう。 きっと姫とノブが恋人になったのが淋しいのだろう。 「くう。今日は偉かったな? ちゃんと姫の手伝い出来て。 お着物もドレスもよく似合って スゴく綺麗だったぞ?」 「…………うん。」 あぁダメだ。 きっと姫の事で頭がいっぱいなんだろう。 「くう? くうの親友は誰?」 「……ミキちゃん…」 「じゃあ 恋人は?」 「……りっくん……」 「くう。大好きだよ。 姫……ノブに取られちゃったな? でも姫はちゃんとくうと遊んでくれるよ?」 「……ミキ…ちゃ…」 泣きそうなくうが堪らなく可愛い……。 「淋しいな? おいでくう。 だっこして寝よう?」 くうはポスンと俺の腕の中に収まった。 花かんむりに網タイツ、ワンピースを脱がせた。 リボンとフリルの付いたキャミソールとショーツ姿にしベッドに寝かせた。 俺もタキシードを脱ぎ捨てブリーフだけになってくうの隣りに横になった。 「くう?おいで?」 くうは小さいくとても華奢で 俺の腕の中に収まってしまう。 くうが甘えるように俺の胸に頬を寄せる…。 「りっくん……ありがと。」 俺はくうのサラサラな黒髪を撫で続けた。 しばらくして くうの寝息が聞こえてきた。 「くう……おやすみ……」 くうの髪にキスを落とし俺も夢の中へと意識を移した。 ………可愛い俺の空…… お前の場所は俺の腕の中だ…… ~信夫・美月~ 「美月、お疲れ様。」 「信夫、今夜はありがとう。」 美月は疲れているはずなのに とびきりの笑顔を俺にくれた。 「ちょっと疲れたな? 一緒に風呂入ろう?」 美月は顔を赤らめ小さく頷いた。 美月の柔らかな髪を洗い 華奢でしなやかな身体を洗った。 美月を湯船に浸からせ、俺はさっと自分の髪と身体を洗った。 「美月、今夜はゆっくり休もう?」 「……うん。」 二人で温まり、風呂から出た。 身体を拭き髪を乾かしていると 「信夫……ミキは信夫の?」 と聞いてきた。 「あぁ俺のだよ。ずっと一緒だ。」 美月は嬉しそうに俺の胸元に擦り寄った。 美月の背中をさすってやると 安心したのか美月は眠りに落ちた。 俺は裸のままで恋人に触れ、 その温かさを味わう。 …………何度となく抱き合ったが 想いが重なると こんなに愛しく癒させる……。 俺は愛しい恋人を腕に閉じ込め 眠りについた……。 ~凪・圭吾~ 「疲れたな?」 「あぁ。」 「寝るか?」 「あぁ。」 俺は圭吾と馬鹿でかいキングサイズのベッドの両端に横になった。 「凪は恋人作らないのか?」 「あぁ。」 「そうなんだ。」 「お前は?」 「俺?一生片想いかな?」 「ふぅん。 淋しかったら俺がもらってやる。」 「えっ?」 「…………早く寝ろ……」 …………眠気で思考が働かないまま 眠りに落ちた。 ~郁弥・晃~ 「晃……疲れたな?」 「うん。イクもお疲れ様……。」 何となく気不味い空気が漂う。 イクがミキちゃんを抱き寄せていた…… イクの苦しそうな表情が頭を過る。 オレ、イクの隣りにいていいのかな? 『……素直になって………… …………ミキから卒業だよ……』 ミキの可愛い声が耳に残る。 愛しいはずのその声は俺に再び別れを告げた。 俺の恋人はミキじゃない。 目の前にいる晃だ………… 『素直になって』 ミキ……わかってるよ…… 「晃? シャワーは朝になってからにしよう?」 「そうだね。疲れたからもう休もう……」 淋しい…… 恋人なのに…… もっとイクに近づきたい…… 「晃ベッド行こっ」 イクはベッドへと俺の手を引いた。 イクは優しく俺を包んでくれた。 たくさんバードキスを降らせてくれた。 贅沢言っちゃダメだ…… 隣りに居れるだけでいいはずだ…… イクが小さく震えてる…………? 「晃……俺を嫌いにならないで……」 えっ? 「俺……晃に嫌われたくない……」 「イク?」 「…………ゴメンこんなで……」 「どうしたの? 疲れてるなら話しは明日にしよう?」 「…………ミキに怒られた……」 「ミキちゃんに?」 「うん…………素直になれって……」 「うん。」 「俺…………晃に……抱かれたい……」 イクの思いがけない一言に驚いた。 でもきっと悩み抜いた一言だと思う。 「イク……オレ達……ゆっくり…進もう?」 「俺のこと嫌いにならないか?」 「大丈夫だよ……」 体格差のない俺達。 この日始めてオレがイクの事を抱きしめて 眠りについた。 ~fin~
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