58人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
01.Side:レイヴン 名もなき鴉《からす》
生まれたての風の中。
抜けるような青い空。
切り裂き進む僕の翼。
眼下に見える黒い頭。
澄み切った空気が頬を掠める。
秋の終わりを告げる白い息。
冬の足音が聞こえそうな寒い朝も悪くない。
ビューティフル・ウェザーが果てしなく広がり、下界の様子がよく見えるから。
僕は名もなき鴉。
熊野神社を塒にする、一羽の鴉だ。
僕の日課は空からの人間観察。
今、気になっているのは、今日みたいな青空を嫌悪する少年と少女だ。
君も気になるだろ?
最初のコメントを投稿しよう!