そこにいるぼくたちは

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【19✕✕年6月21日  きょう、俺は父になった。初めて子どもの顔を見た時、俺が内心で抱いていたのは、不安だった。愛おしさでも喜びでも、感慨でもなかった。もちろんそれらの感情がないわけではなく、嬉しさはもちろんあった。だけどそれを覆い尽くすような不安があって、ただ絶対に口にしてはいけない、と妻が涙を浮かべ、ほほ笑む姿を見ながら、その不安に罪悪感を覚えていた。この感覚は結婚して、夫、と呼ばれるようになった時と似ている。自分みたいな人間がそんな役割を背負ってもいいのだろうか、と誰にも言えずもやもやとしていた時期があった。夫という役割にようやく馴染み始めた頃、新たに与えられた役割が、父親で、不安の大きさは結婚した時よりも、ずっと強かった。妻の性格を考えると、もしそう言えば、役割に正しい形なんてないのだから、あなたはあなたなりの形を見つけながら、一緒に頑張っていきましょう。怒りながら、そんな風に言うだろう。簡単に、正しいなんて言葉を使いたくはないが、きっとこの妻の考えは、俺の不安よりも、ずっと正しい。向き合っていくしかないのだろう、きっと】
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