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「ねえ、満」
わたしは千佳ちゃんの声ではっとした。長瀬さんから千佳ちゃんを見ると、わたしは思わず目を見開いた――こんなに力のこもった千佳ちゃんの目を見るのは初めてだった。
「中森くんと同じ生物係だよね? ちょっと探りをいれてほしいな」
中森くん――そう言われて、目が勝手に中森くんの方を見た。中森くんは細くて背が高く、足が速くて、クラブは陸上だけど、時々、文庫本を真剣に読んでいたりしてちょっと話かけにくい雰囲気もある。だけど、勉強でわからないところを教えてくれたり、先生からの頼み事も快く引き受けたり、「優等生」と言い表すのがいいのかもしれないけど――本当のところ、わたしにはよくわからないところがある。
生物係も、イメージが付かなかった。運動神経がいいから体育係をやるか、リーダーシップがあるから学級委員になるかも、って連想できるけど……まさか、生物係をやるとは思わなかった。一緒にウサギ小屋の掃除をすることはあるけど、特に作業で必要な会話しかしない。
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