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僕からあなたへ
2020年は、いろんな意味で特別だった。
当たり前だったたくさんの物事が当たり前じゃなくなり、行きたい場所に行けなくなり、会いたい人に会えなくなった。
そうなる前はへっちゃらだった、飛行機で一時間半の距離。
昔の人は何日もかけて東海道を歩かなければならなかったのだから、空飛ぶ乗り物がある今、遠距離恋愛なんてただの概念に過ぎない――そう思っていたのに、今はまるで、何万光年も先にある星を追いかけているように途方もなく感じる。
記憶の中にある彼の温もりは、まだ正しいまま残っているだろうか?
自分の都合の良いように、塗り替えたりしていないだろうか?
これまでに過ったことのない不安が、心を駆け抜けていく。
答えを、得られないまま。
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