僕からあなたへ

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「えっ、お正月も帰ってこないの!?」  タブレットの艶やかな画面の上で、形の良い眉が八の字を描いた。 「あー……やっぱ、こっちは状況がだし、俺は仕事も仕事だろ。万が一があるかもって考えると、な」 「まあ……うん、そうだね。こっちはお年寄りばっかだし、万が一……ね」  わかってる。  我慢しているのは、僕だけじゃない。  頭ではそう理解していても、やるせない思いがこみ上げてくる。 『夏には落ち着くと思うから』 『車でなら、帰れると思うから』 『年越しそばは、絶対一緒に食べよう』  そう、言ったじゃないか。  心配そうに覗き込んでくる目の周りが、色濃く染まっている。  感染拡大地域の病院で働く彼は、僕には想像もできないほどの緊張と不安の中で、日々奮闘しているに違いない。  そんな彼に負担をかけたくないと思うのに、僕は自分勝手な涙を止められない。  会えない時間が愛を育てる?  そんなの、嘘だ。  だって……足りない。  僕は今、こんなにも彼に会いたい。
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