11-6. 〈血の呼ばい〉の行方

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「それで、〈血の呼ばい〉は誰に?」リアナが尋ねると、デイミオンは腕組みをしたまま首を振った。 「どこにも感じない」 「〈呼ばい〉を感じない? そんなことがありうるの?」 「あるよ」同行していたファニーが口を挟んだ。「自発的な退位の場合には特にね。レヘリーンが退位したあと、エリサの次の王太子――つまり、クローナン卿が見つかるまでには七日ほどの間があいた、と記録にはある」  念のために、五公たちが入れかわり立ちかわりして扉の前に立ったが、よく磨かれた鏡のような扉は貝のように固く閉ざされていた。王につらなる者は彼らの中にはいない、ということなのだろう。 「いずれは定まるだろうが、これでひとまず、政争の具となることは避けられた」デイミオンがリアナにだけ聞こえる声で言った。リアナも小さくうなずく。王太子が誰に定められたとしても、いくらかは準備する時間があるわけだった。願わくば、彼ら二人に友好的な勢力のライダーであればよいが。リアナにとっては、自分が代理王をつとめる間、重要な関係を持つ間柄になるからだ。
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