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「お願いがあるの」デイミオンの胸から顔をあげて、リアナは言った。
「あなたとアーダルが使う装置を、わたしに確認させて。わたしとレーデルルとで、精神同期を一度ためしてみたい」
「だめだ」デイミオンは即座に否定した。夫婦関係のもの思いからさめたような、驚いた顔をしている。
「今回の件で、無鉄砲を反省したんじゃなかったのか? どうして俺がそれを認めると思うんだ?」
「背中の傷を見たでしょう? もう、ほとんど治りかかっている」
リアナは自分の背を指さしてみせる。「わたしは心臓を損傷しても生き延びられる。たぶん、いま生きているあらゆる竜族のなかで一番頑丈よ。エンガス卿の実験はぞっとしないけど、あなたの安全を確認するためなら……」
「そんな必要はない。おまえが頑丈だと思ったこともない」デイミオンはぴしゃりとはねつけた。
「青と黄のライダーたちがそれぞれ安全性をチェックしている。妻であるおまえが、わざわざためす必要はない」
「だけど、イニ以外にはまだ誰も成功した人はいない。でしょ?」
「……。ひとつの成功例があれば十分だろう。危険な兆候があれば、監視役のライダーがすぐに〈呼ばい〉を断ち切るようになっている」
だが、リアナは引かなかった。危険があろうが、なかろうが、どんなものかもわからない装置に、愛する夫を預けられない。いま急に思いついたわけではなく、フィルとの結婚よりも前から考えていたことだった。
「危険なものじゃないんでしょう? お願い、デイ、一晩だけでいいの」
今回は、彼が受けいれるまで説得するつもりだった。
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