11-6. 〈血の呼ばい〉の行方

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 帰り道で、リアナはナイムの兄弟、ヴィクトリオンを夫婦の竜車に呼んで話を聞いた。 「母上と父上にも連座して処分が下ったことが、ずいぶん(こた)えたみたいなんだ」ヴィクトリオンはそう説明した。「それに、養父(ちち)も。……」  そして、ナイムから聞いたことを語った。  未成年である彼には、所領の収入を勝手に引き出すことはできなかったため、ほとんどの資金は養父であるゲーリー卿にねだって出してもらったのだという。古竜の仔を飼いたいという名目だったのに、実際の竜が見当たらなかったことから、養父はことを知るにいたった。  そして、息子は権力ゲームに興じているつもりでその実、本人の首がかかった危険な綱渡りから、いままさに墜落しようとしていることに気がついた。   『心配しなくてよい、ナイム。おまえはなにも知らなかったのだ。金を流したこともすべて、私がやったのだ。……おまえがどんなことをしでかしても、父はおまえの味方だ』  ゲーリー卿は血のつながらない息子を抱きしめ、そう言ってきかせたのだという。
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