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ふーん、なるほど、とザシャは無感動に思った。警備隊への推薦もふくめ、タマリスでは世話をしてもらった自覚はあったが、やはり亡父の知り合いだったらしい。
「こんな立派な牢をあてがってもらったのも、死んだ親父のおかげですか?」ザシャがうすら笑いを浮かべて言った。「貴族牢っていうんでしょ、こういうの?」
「そうです」ハダルクは首肯し、続けた。
「手短におつたえしましょう。領主貴族――というより、竜を制御できる〈乗り手〉を多く輩出する家は、希少です。あなたには名家の一員として、汚名を雪ぐ機会がある」
「なるほど。それが、こんなとこまでわざわざいらした理由ってわけだ」ザシャは興味をひかれたように尋ねた。「……で、どんな?」
「あなたの血を残すことです」
ハダルクは青い目でじっとザシャを見据えながら言った。さすがに歴戦のライダーだけあって、感情の揺れはまったく見られなかった。
「同じような立場の女性とのあいだで繁殖をしていただく。その務めを受け入れられるのであれば、あなたは命をながらえます」
「そんなことじゃないかと思った」
ザシャは嘲笑った。「繁殖、繁殖。高貴な方々の目的はいつもそれだ」
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