11-6. 〈血の呼ばい〉の行方

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 ハダルクは反論する様子を見せなかった。 「返答は?」  その問いに、ザシャはたっぷりと時間をかけてじらしてから、「ごめんだね」と拒絶した。  答は瞬間に決まっていたが、自分のこのクソのような人生にもそれくらいの余興はあってしかるべきだろう、と思ったのだった。 「リアナは俺を領主貴族として認めなかった。それなのに、繁殖の役目だけ押しつけられるのはごめんですよ。俺は罪人だろうけど、パン屋の息子として死ぬ」 「そうですか。残念です」ハダルクは表情を変えずに言い、それ以上言葉を重ねることなく、静かに退出していった。ザシャは拍子抜けした。わざわざここまでやってくるくらいだから、もっと説得されるものだとばかり思っていたのだった。  ハダルク卿の、あのすかした(ツラ)をからかって時間をつぶそうと思っていたが、まあ、いい。どうせ、自分の最期に変わりはないのだ。高貴なる竜の末裔(まつえい)は裏切者に容赦しない。どんなむごたらしい処刑が待っているのだろうかと思いをめぐらせると、憂鬱になった。  しかし、結論から言えば、もの思いの時間は無用だった。  しばらくすると、見慣れない別の男がやってきたのだった。だと牢番が言った。
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