終わりの始まり

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そうして翌日。 太陽の日差しが眩しくて起き上がると、木の幹に腰掛けるヒナくんと目が合った。 「ヒナくん、おはよう」 「おはよ」 たくさん寝たはずなのに眠くて仕方ない……う"ぅう。 目を擦りながら辺りを見渡す。 リンゲルは既に活動しているのか、近くに姿が見当たらない。 子どもたちは起きている子もいれば、まだスヤスヤと幸せそうに眠っている子もいた。 「リンゲルはどこに行ったの?」 防御膜の魔法は広めに張ってあるけど、自然の中では何があるか分からないから心配になっちゃうな。 「あぁ、近くの川で顔洗うって言ってた」 「ええっ!水くらい魔法で出すのに」 「まぁ寝てたし、気遣ったんだろ」 変なところで遠慮するんだから。 よっこいせ、と立ち上がってリンゲルを探しついでに私も川で顔を洗おうかと考える。 たしか川までそんなに遠く無かったはず。 「ミノも川に行くのか?」 「うん、子どもたちのこと任せても良い?」 「わかっーー」 バリィイイイィイイイインッッ!!!! 途端、全身に鳥肌が立つ。 間違いない、防御膜が破られた。 私が張った防御膜は上位魔物でも簡単には破れないはず。 それが破られたということは、何か非常にまずいことが起きているということだ。 リンゲル!! 「ヒナくん、ごめん!!すぐ戻るから!!」 「っ、分かった。こっちは任せてくれ」 身体強化の魔法をかけてリンゲルがいる川へ急ぐ。 防御膜に衝撃が与えられた部分を探ってみるが、どうにも細かい作業は苦手で上手くいかない。 強い魔物が現れたとか? いや、でも攻撃を受けたくらいじゃ簡単には破れないし。 だとすると魔法を得意とする人間の仕業とか…… 色々な思考が交ざり合って頭がショートしそう!
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