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私はパクリとスプーンを咥えた。
こ、これは……!!
「おい、どうなんだよ?まずいのか?」
何も言わない私を見てイアンは不安そうに問いかけてくる。
しかし私は答えず、その代わり鍋を食べるように促す。
イアンは少し躊躇ったものの恐る恐るスプーンで具材を一掬いし……食べた。
その瞬間パッと表情が明るくなる。
「何だこれ、うまいぞ!!」
「おいしいよね!!すごく!!」
何て言うのかな、こうアッサリとした風味の中に旨味がしっかりあって……とにかくおいしい!!
イアンの言葉を合図に他の子どもたちも食事を始めた。
あちこちから「おいしい!!」という声が聞こえてきて、とりあえずホッとする。
初めて作ったけど、もしかしたら料理のセンスまでチートになったのかも。
すっかり鼻が伸びきったところで私も食事を再開し、楽しい一時を過ごす。
前の世界では考えられなかったな、こんな風に大勢の子どもとご飯を食べるなんて。
両親は忙しい人だったし、基本的に家での食事は一人だったっけ。
まぁ、そんな寂しい時間が嫌でサークルに入ったんだけど……
以前のことを思い出しながら感傷的になっていると、ルビちゃんが私の隣にやって来た。
「ミノお姉ちゃんが作るご飯おいしいねぇ」
「へへっ、気に入ってもらえたなら良かった」
食べなからハムスターみたいにほっぺたをプクプク膨らませている姿が可愛らしい。
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