終わりの始まり

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「とにかく、俺らの役割はこの子たちを違う町に移動させること……で合ってるか?」 「うん!!」 私が答えるとヒナくんは眉間にシワを寄せた。 何となく考えていることは分かる。 「海路は難しいだろうけど、陸路であれば私たちが通ってきたみたいに緩い抜け道があると思うんだよね」 「それはあくまでギルドカードがあったからな……最悪強引に魔法で抜けることも視野に入れると、リリーさんたちに迷惑をかけてしまうかもしれない」 確かに私とヒナくんが船に乗って移動出来たのは、身元を保証してくれたリリーさんの力が大きい。 それなのに魔法で勝手に町を抜けたことがバレたら……リリーさんまで責任を問われてしまう可能性が出てくる。 考えてみれば孤児院の子どもたち全員となると人数は多いし、私とヒナくん二人だけで町を抜けるよりもリスクはずっと高い。 ヒナくんに指摘されて事の重大さを改めて認識し、私は項垂れてしまった。 「でもどうしよう、子どもたちにも約束しちゃったし今さら見捨てるなんて……」 「分かってる。それに商人のフリをするっていうのは良い案だと思うし、落ち着いて解決策を考えよう」 「ヒナくん……!!」 やっぱり頼もしい仲間だ、ヒナくんは。 黙って話を聞いていたリンゲルもヒナくんの言葉にホッとしたのか、一旦止めていた箸を再び動かして鍋の残りを食べ始めた。
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