終わりの始まり

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「よし。脱出方法は改めて練るとして、まず明日は約束していた私との実戦もお願いね」 「あ、そっか。ミノとも約束してたな」 「おい、危ない真似はさせられないぞ!」 私の言葉にヒナくんは慌てた様子で止めに入る。 心配性だな~、なんて思ったけど……でもよく考えたらヒナくん相当ボコられてるよね。 顔なんか傷がいっぱい付いてるし、髪の毛も乱れまくりだし。 私を人質に取られてた前提があったにしても、チートな魔法を扱うヒナくんがこんなにダメージを受けてるってことは、リンゲルの実戦経験が豊富なことを物語っている。 あれ、何か急に不安になってきたけど!! 「り、リンゲルってさ……やっぱり普通の人より強い部類に入ったりするの?」 「ん?自分じゃよく分かんないけど、野宿中に盗賊七人から襲われたときは一人で退治出来たかな」 あ、どうしよう。明日が私の命日かもしれない。 内心絶望していると、ヒナくんがポツリと言葉を溢す。 「リリーさんたちのことを待たせてるし、なるべく早く戻りたいんだ」 その横顔は寂しそうで。ヒナくんにとってあの二人はすっかり仲間なんだな、と思った。 もちろん私も同じ気持ち。 「……二人はどうしてるの?」 「今は危険を避けるため屋敷に籠ってると思う」 「それじゃ確かに早いところ顔を見せに行かないとだね」 一日でも早く戻って二人を安心させたい。 やらなきゃいけないことは少なくないけど、皆で力を合わせれば解決出来るはず。 「早く食べ終わって今日はもう休もう!」 そのためにも休息は必要だ。 私が意気込むと、ヒナくんとリンゲルは頷いた。 実戦経験を積んで、皆のことも必ず助けてみせる。
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