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「……あっ、う…!」
中山はただ震えるばかりで、言葉を紡ぐことすらできない。
眼球は小刻みに揺れながらゆっくりと向きを変え、床に落ちた丸いものを見る。
それは、教師の目の前に座っていた三上の頭だった。
赤い噴水とは、頭部を失った三上の首から吹き出す血液だったのだ。
「なぜ、人を殺してはいけないのか…それは」
教師が今までになく低い声で言う。
優しげで穏やかな雰囲気など、影も形もない。
「何の罪もない人を守るためだ」
「な、な…!?」
中山は混乱する。
何の罪もない人を、三上を殺したのは教師ではないか。そう表情で訴えかけるが、言葉にはできない。
教師の低い声は続く。
「逆に、人を殺していいと認めればどうなるか? 血の気が多い連中によって、殺し合いの世界が作り上げられるだろう」
「…!」
中山は我に返る。
もはや話などどうでもよかった。なぜ三上を殺したのかと、しかしそのまま言葉にはできずに言い放つ。
「なっ、なにやってんだよ、お前ェッ!」
「血の気が多い連中が殺し合うだけなら、まだ平和だ」
教師は中山に返答しない。
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