その1:最後の授業

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 何気なく、左手を横へ払った。  すると生徒たちの何人かが血を流して倒れる。  それまで恐怖に震えていたはずなのに、一瞬にして物言わぬ物体へと変わってしまった。 「ひぃいいいいッ!」  中山以外の生徒たちが、教室の後部出口へ殺到する。  だが、どれほど力を入れても戸が開かない。 「おい早く開けろ!」 「なにやってんだよ!」 「開かないんだ! 一体どうなってんだこれえ!?」 「代われ、おれがやる!」  男子生徒たちが代わるがわる開けようとするも、戸が動くことはない。  その間も、教師が手を振るう度に生徒が倒れていく。 「ぎゃっ!」 「うぼぇっ!」 「ぐおぁあっ!」  ある者は斬られ、  ある者は体の一部をつぶされ、  またある者は体に穴を空けられた。  教師は教壇から下りてさえいないというのに、手を振るうだけで死体が増えていく。 「犠牲になるのは、いつだって弱い者たちなんだよ」 「て、てめえが言うな…!」  中山は教師に反論する。しかし声の震えはどうにもならない。ひざの震えはさらにひどく、少しでも気を抜けば椅子に座り込んでしまいそうだった。
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