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威勢のよさが売り物の彼だが、表情すら変えることなく連続殺人を行う異常者には、とてもではないが立ち向かえない。
教師は、笑みの種類を歪んだものからにこやかなものに変えつつ中山に語る。
「人を殺してもいいと認めれば、すぐにこういうことが起こる。勝てない人間は全て殺されてしまうんだ。もしお前に好きな人ができて、その人との間に赤ちゃんができたとしても、同じように殺されてしまうだろう」
「く…!」
「お前は強いかもしれない。お前なら俺に勝てるかもしれない。だが…お前が大切に思う人たちもそうなのか? という話なんだ」
「ふ、ふざけやがって! それならそうと口で言やあいいじゃねーか!」
「なぜ人を殺してはいけないか、わかってもらえたかな?」
「わかったからなんだっつーんだよ!」
「わかってもらえたか? と訊いている」
教師は笑みを消し、鋭い声で問う。
そしてまた手を振るい、生徒を殺した。
「…!」
中山は観念する。
両手を握りしめるとうつむき、悔しげに叫んだ。
「わかった…! わかったからもうやめてくれえ!」
「…中山、おーい」
「えっ?」
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