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穏やかに呼びかけられて、中山は我に返る。
ふと見ると、教師が不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「…あれ?」
中山は教室を見回す。
どうやら椅子から立ち上がっているらしく、視点が高い。
「……」
床に顔を向けてみる。しかし何もない。
先ほど頭を失い血液を噴出させていたはずの三上は、教師と同じ表情でこちらを見ている。
「なんだ…? なんで?」
「おいおい、どうしたんだ」
教師が苦笑する。
「いきなり立ち上がったかと思えばボーッとして…悪い夢でも見たのか?」
「え…?」
中山は呆然とした表情で声を漏らす。
あまりに間の抜けたその姿を見て、教室中の生徒が笑った。
「あはははっ」
「…くっ」
笑われた上、立ったままでいるのが恥ずかしくなり、中山は椅子に座る。
机に突っ伏して、自分が見た阿鼻叫喚が一体何だったのか考えた。
しかし答えが出る前に、教師が話を終わらせる。
「じゃあ、先生の話はこれで終わりだ。気をつけて帰れよ、卒業おめでとう!」
「……」
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