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地主に先生と呼ばれた直親が、苦笑しながら封筒を返す。
その動きがあまりに自然だったので、地主は思わず受け取ってしまった。
後からそれに気づき、再び直親に封筒を差し出す。
「いやいや先生」
地主は、直親を教師役としてではなく敬意をもってそう呼んだ。
「ただの老人がお祓いなんてできるわけないじゃないですか。私が先生を呼ぶ理由もなくなる」
「それはそうですが…どうにも、くすぐったく感じてしまいます」
直親は照れくさそうに、短く刈り込まれた白髪頭をかく。
この行動、反論としてはほとんど効果がない。地主が引き下がることはなかった。
「あの学校は、夜明け前になるといつも紫色の不気味な光を放つんです。でも今朝はそれがなかった。間違いなく先生のおかげです…受け取っていただけなければ、私の寝覚めが悪くなる」
「ですが、あまり多くのお金を持つと霊だけでなく人も寄ってきます。そうなると寄ってきた人に危険が及ぶことに…あ、ではこうしましよう」
直親は封筒を指差すと、こんなことを提案する。
「1万円だけいただけますか」
「1万? それだけでいいんですか?」
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