その2:赤い空の下で

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「そうですか。じゃあ後ろもお願いします」  直親は後ろを向く。  正面の時と同じように両手を広げた。 「!」  地主の目が何かを見つける。  それは青白い手だった。  直親の背中から、枯れ木のように細い腕が不自然に飛び出している。手はその先端にあった。  地主はあわてて直親に報告しようとする。  すると青白い手が素早く伸び、地主の口元を覆った。  その直後、手の甲が裂けて新たな口が生まれる。 「こっちもないですね」  偽りの口が、地主の声を真似た。  それを聞いた直親は、疑うことなく彼へと向き直る。 「確認していただいて助かりました」 「いえ…」  地主が輪郭のぼやけた声で返事をする。  封筒から1万円札1枚を取り出すと、直親に差し出した。 「ではこれ、1万円…」 「ありがとうございます。それでは失礼します」  報酬を受け取った直親は、地主に頭を下げる。廃校から去っていった。  それから約30分後。  直親は、草むらの中に倒れていた。 「くっ…! うう」  苦しげに胸をかきむしる。 「い、異常は…なかったはず……!」
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