その2:赤い空の下で

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 地主は確かにそう言った。  だからこそ自分は金を受け取り、帰路についたのだ。  だが異常がなければ、これほど苦しむ理由がわからない。 「ぐああっ!」  直親の背中が裂ける。  中に潜んでいた青白い手が、草むらの中に這い出た。  青白い手は指を使うことで移動し、直親から離れていく。 「いかん、このままでは…!」  直親はどうにか捕まえようとする。  しかし、裂けた背中が生み出す激痛により何もできない。傷口から吹き出す血液の赤が、凶手の色を変えることすらなかった。  自由を手に入れた青白い手は草むらを抜ける。崖のような場所に出た。  そこはトンネルの入口だった。青白い手はトンネル入口の真上にいた。  朝陽の力強い光が一面に広がる空とは対照的に、トンネルの中は暗い。その暗がりに向かって、さびついたレールが伸びている。  レールに暗がりの黒が差すかどうかという境目に、小太りな男が立っていた。 「み、みんな…よってたかって僕をいじめて…うぅ」  小太りな男は、トンネルを見ながらつぶやいている。暗がりが恐ろしいのか、体を震わせるばかりで歩き出す気配はない。
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