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楓は、楽しげに笑った。
「お前も、ここに立ってみれば?眩しいけど、キレイだぞ」
影からじっと、黒樹が光の中の楓を見つめる。
「…………僕は、それをこちらから見てるだけの存在だ……」
「また、そういうこと言う〜!」
カフェオレを飲もうとしている黒樹に近づいて、カップを奪う。
「楓」
黒樹が諌める声が飛ぶ。
「いいから、こっちにきなさい」
楓は、エスコートをするように黒樹の手を取って、光の中に導いた。
「似合うとかよくわからないけど、このほうが楽しい!」
「楓!」
「カフェオレなら、入れ直してやるよ!」
「(暖かい……)そこじゃない……」
暖かい場所で、光に溢れた場所で、自分がどんな顔をしているのか、黒樹はいたたまれない気持ちで楓を睨み上げていた。
「(楓はいつも、こうして贈り物をする。僕を、光の場所に連れて行く)」
「踊るか?」
楓が、黒樹の両手を取った。
「意味分かんないんだけど。踊らないから」
「えー。楽しいのにぃ」
「はいはい」
この男は、運命の人を捜していた。
そして、いつの間にか居付いてしまった。
捜し物承ります。ー贈るものー:END
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