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想う
この国には、「闇」がある。手にすると、何でも願いが叶うのだという不思議な力が。
誰も見たことも触れたこともない。しかし、それは確かに存在するのだ。
国の首都、それも中心部のにぎやかな街の一角に、その店はあった。
入り組んだ路地を進み、目立たない平屋の建物。路地に面した壁に、四角い窓と木の扉が一つずつ。扉には、20センチ四方の覗き窓があるが、小さなカーテンがかけられていて、中を見ることはできない。店を表すものは、そこにある「Open」の文字が書かれた白い木札だけ。
木札の端には――――
「闇の在処についてはお答えいたしません」
という注意書きがある。
扉を開けると、正面に丸いテーブルと椅子が二脚ある。テーブルには銅の縁取りをした水晶板が置かれていた。見上げると天窓があり、ステンドグラスになっている。そこから、カラフルな光が差していた。
今日は晴れている。
床に、キラキラと光りが揺れている。
少年が一人、丸いテーブル越しにそれを眺めていた。
少年の座る場所は、この時間は影になる。
カップには、カフェオレが湯気を立てている。
少年の名前は、黒樹と言った。
ここで、魔術を使った ここでは、魔術を使った占いで、捜し物の情報提供をしていた。
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