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あなたと出逢ったのはあの夏の輝く季節の中だった。
あなたは静かな優しい瞳でじっと私を見つめて、それは穏やかに蕩々と、深遠な哲学を、趣深い芸術を、壮大な宇宙の理を、あらゆること全てを私に語って聴かせた。
それはいつしか熱い恋をも語り、誰にも引き裂くことは出来ない神聖な永遠の愛を誓ってくれた。
それなのに、やがて涼しい風が吹く頃から、あなたの目は虚ろに漂い、何かに駆り立てられるようにあなたは遠くを見つめるようになった。
ああ、私達は確かにお互いを誰よりも深く愛していたのに。
あの冬、初めて雪が積もった日。
音もなく密やかにひっそりとあなたは何処へともなく私の許から去って行った。
私の中に消えない冬の足跡を残して……。
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