ここは転生課です。御用がある方はあちらの書類をご記入の上、受付でお渡ししてください

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「すみませんが時間の問題上、貴方の質問にはあまり答えられません。ですが、この状況が一体どのようなものなのか断片的に説明しますと、あなたは死にました」  私は未だに状況を飲み込まていなさそうな彼に淡々と状況を簡略的に説明すると、彼は何か理解したようでそれ以上話す事は無い。 「では何点か質問してもよろしいでしょうか?」 「………何ですか?」 「何、簡単な状況把握です」 「え?」  彼は一瞬だけ不思議そうな表情を向けるが私はそんな彼の疑問的な視線を無視をして、手元にある羊皮紙に目を通す。 「高橋弘樹さん?」 「は、はい」 「直球的な質問です。あなたはなぜ死んだのですか?」 「え?」 「言葉の通りです。それ以上の意味はありません」  彼に何一つ顔を向けず、私は羊皮紙とにらめっこを続けていると、彼は静かにその口を開く。 「………裏切られたんです」 「ふむ、そうですか。苦しいと思いますが、もう少し細かい説明はできますか?」 「………はい」  そう言うと彼は、一体、何が起きたのか事細かく説明してくれた。  私たちは転生前の情報や経歴を知ることはできるが、転生後の死に関しては観測できなかった。故に被害者に事細かい説明を知らなければいけない。  まず、この場所に二度も来るほどなのだから、それほどの執念に近い物でもあるんだろう。 「そうですか。ありがとうございました」 「……はい」  彼の説明を聞き終えた私は、彼の起きた状況に私は手元にあった羊皮紙に丁寧に書き込んでいく。  そして、羊皮紙に書き終えた彼のここまでの経緯に関して理解する。  簡略的に言えば、転生→能力を使用して無双→ハーレム→快く思わない者&仲が良かった女性たちと仲間たちに裏切られ現状に至る、と言う形になっている。  こうも綺麗に栄枯が描かれていると、あまりにも不幸な人間すぎて可愛らしく思えてくる。それが例え調子に乗った馬鹿であろうとも憐れであり可愛らしく見えてくる。 「では、どうしたいですか?」  そして私は彼に問う。一柱の神として、 「え、どうしたい、ですか?」 「えぇ、あなたはここに来た以上、選択権があります。このまま、死にますか? それとも裏切ったものにへと復讐を行いますか?」 「………どっちもしたくない。平和な世界にへと転生はできないんですか?」 「無理です。規約に置いて他の世界に魂を送り込む際、その世界から何かを引き抜かなければいけない。その引き抜いた命に似も選択に余地がありますが、今のあなたにはそれほどの素養が感じられません。それに、世界の決まり事なんです『輪廻転生』は」  異世界転生も楽ではない。  その別次元の世界の法則を破る行為をしなければいけないのだから。けれどもその世界の法則は一人間には決められない。決められるはずもない。世界の真理を完全に理解できていない存在には法則を変える力はない。  ルールを破るには、それ相応の代償が付き物なのだから。 「で、ですが、僕をこちらの世界を読んだ時は何も………」 「何か勘違いされていませんか?」 「え?」 「それら全てに置いて貴方たちの意向は聞いていません。そうです。結局は私たちの勝手(’ ’)です」  あれとこれは違う。あれはあれ。これはこれ。貴方たち生み出した便利な言葉なんです。それが世界なんです。  そう言うと、私の目の前で、彼は驚き狼狽え苦しむ。  そうです。それしかないのです。結論は二択、死ぬか生きるか。 「故に問います。どうしたいですか?」 「………生きたい」 「その先には争いがあります。理性が崩壊します。苦しみの選択です。それでもですか?」 「あぁ、それが終わり次第、あんたを殺す」  彼、高橋弘樹はそう言いながら憎たらしそうに私の事を見てくるが、私にとっては虫が機械に睨みつけるような物。  興味がない。  だが、その信念は面白く可愛らしい。 「………いいでしょう。その時はその時です。どちらにせよ、これは貴方の本心なのですから」 「なに?」 「そうですね。その復讐心、人間らしい怒り、悲しみ、苦しみ、憎悪、絶望、殺意、人らしい悪意を抱いてくれたあなたは成長の余地がある。ですから私たちからプレゼントをあげましょう。人ゆえの心の在り方を」  そう私が宣言すると、彼の頭上から小さな光の粒のような物が振り落ちてくる。 「あなたが人間らしい生き方をしていますから、少しは色を付けました。では再び会えたら会いましょう。高橋弘樹様」 「な、ま、待てっ! いったい、僕に何を与えたんだ!」 「それは今知るものでは無いです」  私がそう言うと、光の粉に塗れた高橋弘樹を強い光に包ませこの場から消した。 「………人間は可愛い物」
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