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高橋という男
韓国アイドルが流行りらしい。
アジア圏の人間、特に中国人や韓国人は日本人と全く見分けがつかない。大抵がすっきりとした一重で、黄色っぽい肌、黒い髪と瞳。高橋は彼女たちに言いようのない違和感を覚えていた。
見た目がほぼ日本人なのに、日本語で歌わないし、喋らない。一見自分と同族なのに、しっかりと違う国の血が流れていることに、裏切られたとさえ思う。
そんなことは大きな声では言えないのだが、日本人ではいけないのだろうか? 日本にもアイドルは腐るほどいるだろうに……。
そういえばこの前、近所の公園にある大きな広場で、ご当地アイドルがライブをしているのを見た。冬なのにヘソが丸出しだった。
アイドルというのは、ギャップだらけだ。彼氏がいるのに、ファンにはあなただけと言う。すっぴん写真だよ、恥ずかしい、と言いつつマスカラ増し増しだ。本当は焼酎が好きなのに、宅飲み最高と言いカシスオレンジを飲む。それもこれも全部SNSにアップする。彼女たちは常に見られていて、見せるのが仕事なのだ。
僕とは大違いだ、と高橋は思う。彼は常に陰に隠れて日銭を稼ぐ、アングラ人間だ。少なくともそう自称する。
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