第38話 沖縄からお知らせ

1/1
前へ
/62ページ
次へ

第38話 沖縄からお知らせ

〈追記:はじめまして、フェンリルという者です。クリムが持っていた手紙に書かせてもらいました〉  3つ折りの隠れている部分に、手書き文字を見つけた。ルグア達は戸惑いながら読み進める。  〈ルグア様に、伝えなければならない重要なことがあります。手紙では難しいので………おき…………〉  途中でかすれて、解読できない。だが、最初の2文字で、予想がついた。 「すまん、行ってくる。クリムもだろ?」  龍は私の肩に乗り、そのまま日本の最南端に向けて出発。加速を使いで急ぐ。  がしりと掴む鋭爪は、奥深くまで食い込んで、痛みを感じる。そんなことは、気にしない。  無事到着したのは、沖縄県。昔戦争が起こった地のひとつで、軍基地は今でも目立つ。  眼下に手を振るエルフの女性。きっとあれがフェンリルだ。高度を落とし地に足をつく。 「あなたが、ルグアさんですね。お初にお目にかかります。突然の呼び出しですみません」  女性は、頭を下げる。 「問題ねぇよ。クリムゾンブレードも強くなったし…………。お前が強化したんだろ?」 「な、なぜそれを……。初見のはずなのに…………」  いきなりの、ルグアの言葉。唐突すぎて、フェンリルはあたふたしながら、 「合っています……。けれども!!」  と微妙なところで止めた。 「ま、これは勘の結果だ。偶然と言ってもいい。んで、”伝えなければならないこと”ってなんだ?」  本題に入る。フェンリルは、深呼吸すると、 「これから、地球規模の、戦争が始まります。それを止めてくれませんか?」  これが、知らせの真実だった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加