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第38話 沖縄からお知らせ
〈追記:はじめまして、フェンリルという者です。クリムが持っていた手紙に書かせてもらいました〉
3つ折りの隠れている部分に、手書き文字を見つけた。ルグア達は戸惑いながら読み進める。
〈ルグア様に、伝えなければならない重要なことがあります。手紙では難しいので………おき…………〉
途中でかすれて、解読できない。だが、最初の2文字で、予想がついた。
「すまん、行ってくる。クリムもだろ?」
龍は私の肩に乗り、そのまま日本の最南端に向けて出発。加速を使いで急ぐ。
がしりと掴む鋭爪は、奥深くまで食い込んで、痛みを感じる。そんなことは、気にしない。
無事到着したのは、沖縄県。昔戦争が起こった地のひとつで、軍基地は今でも目立つ。
眼下に手を振るエルフの女性。きっとあれがフェンリルだ。高度を落とし地に足をつく。
「あなたが、ルグアさんですね。お初にお目にかかります。突然の呼び出しですみません」
女性は、頭を下げる。
「問題ねぇよ。クリムゾンブレードも強くなったし…………。お前が強化したんだろ?」
「な、なぜそれを……。初見のはずなのに…………」
いきなりの、ルグアの言葉。唐突すぎて、フェンリルはあたふたしながら、
「合っています……。けれども!!」
と微妙なところで止めた。
「ま、これは勘の結果だ。偶然と言ってもいい。んで、”伝えなければならないこと”ってなんだ?」
本題に入る。フェンリルは、深呼吸すると、
「これから、地球規模の、戦争が始まります。それを止めてくれませんか?」
これが、知らせの真実だった。
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