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誰かに聞いてみるか……
「すみません、あの、どうやって馬券を購入したらいいんですか?」
お父さんが聞いた相手は、いかにもバクチで身を滅ぼした感じの冴えない人だった。
「あんた、初めてかい!辞めとけ!辞めとけ!バクチって甘いもんじゃないぞ!
まぁ、やりたいなら俺が教えてやるよ。
安心しな!俺の名前は今田蓮勝、六二歳だ!名前からして勝負師だろうが!」
「す、素晴らしい名前ですね。宜しくお願いします。」
「お前は、競馬の経験は有るのか?」
「昔、旅行に行った時、乗馬をした経験が有ります。」
「馬鹿か!馬を買った事が有るか聞いてるんだ!」
「馬なんて買えませんよ。高いんでしょ?」
「お前と漫才してる暇なんて無いよ!馬券を買った事が有るか聞いているんだ!」
「この前、会社の友人から誘われて三四五万当てる事が出来ました。」
「な、な、な何だと……!よし、分かった、今日から、お前は俺の弟子だ!絶対に損はさせん。」
「良いんですか……?よ、宜しくお願いします。」
「全て、買い方から馬券の予想をお前に伝授する。その代わり、外れても掛けた金額の一割は頂く。当たったら二割だぞ!」
「結構、取るんですね……」
「安いもんだろ、授業料だと思え!」
「は、はい……」
「お父さん、怪しい人とさっきから何を話しているんだろう……?」
「あ、あの老人、もしかして蓮さんじゃ……」
「蓮さん……」
「さ、最初、自立村で、君達に話して来た人だよ。」
「あっ…俺、覚えてる。でも今より、もっと背が低かったよ。」
「れ、蓮さんも自立村に何年か後にきっと、連れてこられたんだ……い、今では蓮さん、凄く良い人なんだけど……」
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