自立村

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「わっ、汚い部屋だなぁ……こんなソファー座りたくないよ……」 「な、何か言ったかい?」 「いいえ、何も……」 「あのぉ……僕達、早く帰らないと……」 「だ、大丈夫さ!タイムマシーンで時間を元の時間に戻したら、さ、さっきの時間に戻れるから心配要らないよ。」 「お兄さんの名前もタケルって言うんだね。何か、タケルと良く似てる感じがする。」  確かに、自分でも感じた。  でも、嫌だった。  自分の将来を映し出された感じがして……  何一つ、変わらない自分そっくりな人が隣にいるなんて……   「そ、そうだよ。どうも、タケル君は、過去の俺みたいだ。  俺の名前は松田タケル二七歳。」 えっ……このお兄さんが未来の僕⁇⁇⁇    健太は、目を合わせ僕とお兄さんを何回も見比べていた。  僕は、ちょっとショックだった。  もっと、カッコいい自分の未来像だったら納得していたかも知れないが……そして汚い部屋。  十五年後の僕の姿…… 「こ、この村は自立村って言うんだ。  元の世界で自立出来ないで困ってる人や他人とは上手く会話出来ない人達が集まって生活しているんだ。  な、中には、自分を抑えきれず、犯罪を何回も起こした人も少なくない。」 「でも、さっき港では沢山の人達が仲良く話していたよ。」 「か、彼らだって、昔は何も出来ない連中だったさ!  まず、ここに来たら適性検査を行って自分が何に向いてるかを徹底的に調べるんだ。  人間誰だって隠れた才能が有るもんだ。  ここの連中は、現代の技術を使わず、自分達の力で自給自足して、田畑を作り井戸を掘って水を使い、電気だって風力発電で賄っているんだ。」  健太は、驚きの連続だった。
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