SNSの向こう側

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 自分で言うのもなんだけど、私はけっこう文章がうまい、みたい。  小学校のころから国語が好きで、授業で書いた詩がほめられたり、コンクールで入賞したりね。  未来(みく)ちゃんすごいねーなんて言われたら、悪い気はしない。  だけど、なんかすごく恥ずかしくて、「たいしたことないよ」とか「たまたまだし」とかごまかしてた。学校の課題だからってだけで、とくべつ興味があるわけじゃないんだって。  でもさ、本当はずっと「物書き」に憧れていたのだ。  自主的に、なにかを書いてみたいって、そう思っていた。  ノートにこっそり書くだけだったんだけど、私みたいな素人でも大勢のひとに見てもらえる場所があることを知った。  それが、インターネットだ。  中学の時、友達がWeb小説を教えてくれて、そういうところに書いているのは、ほとんどが素人だと知って驚いた。そこからプロになるひともいるんだとか。  そういや、本屋さんでもWeb発の人気小説がどーのってポップ、あったなあ。  私は「書くのとかキョーミない」ってことになってるから、誰にも言えなかったけど、こういうところなら匿名だし、友達にだってバレずにできる。  そのことが、私にはとても魅力的に映った。  匿名、万歳!  家のパソコンは、お母さんと共用なので、閲覧はできても投稿とか無理で。中学の時は、もっぱらWeb小説を読む立場だったんだけど、高校生になってスマホが解禁。  私はさっそく自分でも文章を発信してみることにした。  とはいえ、私が選んだ場所はSNS。  私が得意なのは短い文章だから、Web小説みたいに長いやつは、ちょっと無理かなって思ってね。  SNS上には、140字小説といって、短い文章で世界を見せるものがあることを知って、私はそれにチャレンジすることにした。  アカウント取得の際に作成した名前は、ミライ。  未来(みく)を、読み変えたものだ。
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