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他力本願。それが俺の座右の銘、だった。
進学先は親任せ、就職先は教師任せ、基本的に大切なことは全て他人の判断に身を委ねる。それがこの俺、三船公平の生き方、だった。
自分で決められないわけではないが、自分で決めたことはロクな結果にならない。彼女いない歴30年、それに終止符を打つべくマッチングアプリに登録し、あの手この手でやっとできた彼女は、いつの間にか俺の親友と付き合っていた。ふざけんなクソが。
何もかもが中途半端、それが俺の人生、だった。
さっきから語尾が過去形なのにはわけがある。どうやら俺は死んだらしい。
昨夜、親友が俺の彼女と付き合っていることを知った俺は、近所の居酒屋でヤケ酒を飲み、酔っぱらった帰り道、飲酒運転のトラックに轢かれて死んだ、らしい。
らしい、と言うのは、さっきから俺の脳内で誰かの声が俺にそう語りかけているからだ。
『…かくして、三船公平はその短く惨めな生涯を閉じたのでした』
流石にヒドくない?なんで知らない人にそこまで言われないといけないの?てかこれ夢でしょ?なんか周りの背景真っ白だし、地面はスモークでモクモクしてるし。
『夢ではありません。これは現実です。証拠の映像がこちらです』
誰かの声がそう言うと、目の前の空間に映像が映し出された。そこに映っていたのは俺、だった《もの》だった。うわー、めっちゃグロテスク。バラバラになっちゃってるよ俺。スプラッタなショッキング映像だよこれ。youtubeに流したら100万再生いけるなきっと。子供には見せられないけどなちょっと。
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