つぶやき短編集

3月の別れ

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3月の別れ

　さようなら、と僕は言った。
　薄桃色の花弁が舞い散る中、君は無垢な瞳で微笑んだ。
　この笑顔も見納めなのだと気がついて、熱いものが込み上げる。情けない顔なんて見せられないから、背を向けた。それでも君は「またね」と笑って手を振った。

　幼い君が「別れ」の意味を知るのは、もう少し後のこと。