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通販で買った自動掃除機が届いた。ロボット掃除機よりもっと進化したものらしい。学習機能がついていて、必要なもの、不要なもの、保留と分けてくれて、ゴミは分別してくれる。
大きさはロボット掃除機より大きく、分別するためか腕がついている。車輪も大きく大きなゴミでも片付けてくれそうだ。
最初の頃は学習機能を使うため、捨てていいもの、悪いものを教える必要がある。
「このチラシは捨てていいですか」
人工音声とはいえちゃんと質問してくる。
「これは、燃えるゴミにしといて」
もう少し上のモデルだと自治体のゴミ分別ルール簡単に取り込められるらしい。
一ヶ月もたっただろうか、以前はゴミ屋敷まで行かないにしても一人暮らしで乱雑になっていた部屋だったのだが、ずいぶんとスッキリしてきた。最小限のもので生活できると気がついたのだ。
それから更に数日たった。
「あれ、冷蔵庫に食べ物ないぞ」
「賞味期限が過ぎてましたので掃除しました」
自動掃除機は無機質な声で言った。
「ノートパソコン、使えないぞ」
「パソコンが重いというので中身を掃除しました」
「お、お前」
私は目の前のノートパソコンを自動パソコンに投げつけた。
「掃除します」
無機質にやつはつぶやいた。
「ば、ばかやろぅ。出てけっ」
「自動掃除機、掃除します」
そう言うと自動掃除機は家の外に出ていった。
殺風景な独房のような部屋の中に自分だけがいた。
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