2.あなたに溺れて ※

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 半日も無断でいなくなった僕を、イルマ様は大層心配してくださった。  困ったことに、もういいから休むようにと言われた。 「セツ! これは命令だよ。ぼくのことはいいから、今夜は早く休んで!!」 「⋯⋯わかりました」  自室のベッドに寝転がって、ふう、とため息をつく。  ベッドの脇の小卓には件の香油の瓶が乗っている。 「そうだ!」  ⋯⋯そもそも、自分で試してみようと思っていたんだった。  香油の瓶を、開けてみた。  透明でとろみを帯びている。ほんのり、柑橘のような爽やかな香りがする。  僕は、服を脱いだ。 「⋯⋯ん、はッ」  とろりとした液体を指先に取って、自分の後孔に塗り付けた。それだけだったのに。  自分の前は、さっきから緩く勃ち上がって、透明な雫を零し続けている。  後ろは、ひくひくと疼いて止まらない。  ベッドにうつ伏せて、顔を布に埋めた。  必死に快感を抑えようとしても、布に触れたところが刺激になる。 「ひ! あッ!!」  自分で先端を擦りつければ、腰が止まらなくなる。  ──これ、絶対、媚薬が入ってる⋯⋯。  にこにこと愛想のいい商人の顔が浮かんだ。  コンコン。  扉を叩く音がする。  コンコン、コンコン。 「セツ様? 具合が悪いとお聞きしましたが」  ⋯⋯どうして、レイが?  ちょっと、今は! 今はダメだ!! 「あっ! ⋯⋯んっ」   抑えようとしたら、変に声が出る。 「セツ様!? どうなさったのです! 大丈夫ですか!」  ガチャガチャと、扉を開けようとする音がする。  え⋯⋯え!? 冗談じゃない!! 鍵、鍵はちゃんとかけただろうか。  汗がこめかみを伝う。冷汗なのか興奮からなのか、わからない。 「開いた!」  ──!!!!! 「セツ様?」 「⋯⋯レイ⋯⋯ふ⋯⋯うッ」  呆然と立ちすくむレイの姿が、視界の端に(うつ)った。   小卓の上の香油と僕を代わる代わる見ている。  ⋯⋯もう、死にたい。  裸でうつ伏せのまま喘いでる姿なんて、最悪じゃないか。  レイは、すぐに向きを変えて扉に向かった。  ああ、そうだよな。見たくもないはずだ。  目が熱くなって、鼻の奥がツンとする。  かちゃり、と音がする。
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