好き避け

好きすぎて怖いと思うから、むやみに手が出せない恋愛がある。

「どうしよう、ものすごく好きになったよ」

素直にこう言えばいいのに、好きって気持ちと体と心のバランスが悪すぎて、その基準値の低い、低いほうへ片寄ってしまって失敗する。
ベクトルを合わせて推進したいのに。

ひねくれ曲がった悪い自分が出てきて意地悪をする。

「うーん、好きよ。会いたいと思うよ。でもなんか違うんだよね、好きなんだけど、そうなんだけど、なんて言うか、それって、今言わなくても、言わなくてもわかるよね」

言ったあとからはもう流れに身を任せるしかない。

好きって思っても、毎日会えても、いつかは会えない日もあって、それがたまたまロング期間になるかもしれなくて、その時に自分の気持ちがMAXに高ぶって居てもうどうしようもないくらい、大好き好き状態で仕上がってしまっていたとしたら、そんな時の好きの愛情確認が難しくなってくる。

そこまでは理性を保ち理解することも出来るわけであり、問題は、その先の結果がわかっていることに対しての矛盾したワガママな自分の下手くそな愛情表現にある。

会いたければ会いたいと言えばいい。
好きなら好きとアピールすればいい。
寂しいなら寂しいと伝えればいい。

怒っても泣いても冷たくあしらっても、好きなもんは好きなのである。

でも。

好きなもんは好きであり、会えなくなるのも現実であり(遠恋ではなく)、永久に会えなくなるわけではないのに、氷河期が押し寄せてくる(心の中)気がして、それに対する防衛本能みたいなのが働いて、攻撃的(冷酷)になる。

厄介な自分に対峙することが出来ず、真面目にとらえすぎた結果、ひとりよがりの好き避けになってしまう事となる。

ここまで分かっていながら、何故どうして自我を超えることが出来ないのだろうか。

あー、好きってむずかしい。