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森の子
最近よくこの森に来る女の子がいる。
あたしはその子のことを見たことあるが、話し掛けたことはなかった。
人には妖精が見えない。
あたしは妖精だから、女の子には見えない。
けれど彼女は、毎日のように遊びに来てくれる。
あたしは嬉しくて仕方がなかった。
毎日のように来てくれる彼女と友達になりたいと思ってしまった。
今日も彼女はやって来て木々に話し掛ける。
そして動物達に挨拶する。
彼女は不思議だった。
動物達が彼女をみても全く怖がらない。むしろ擦り寄っていくような状態だ。
だから益々彼女という存在が気になった。
あたしは、ソーっと彼女に近付いてみた。木の陰に隠れて、じっと彼女を見つめてみる。
「おはよう!」
あたしの気配を察知したのか、彼女は後ろを振り返る。
「あれ?」
間一髪、あたしは彼女の向いている方向の逆側に回った。
ホッと胸を撫で下ろして安心していたら、彼女の顔が目の前にあった。
「!!」
彼女にはあたしが見えているようだ。
まさかとは思ったけれど、彼女はあたしをジッと見ている。
「さっきの気配は貴方だったのね」
彼女はニコッと微笑むと、手を差し出してきた。
「ちょっとあたしの手大きいけど、握手しよ。初めまして!仲良くなった印だよ」
あたしは躊躇いながらもゆっくり手を伸ばした。
彼女の手はあたしくらいに大きいから、彼女の指がを握る。
「これでもう友達だね」
彼女ははにかんだ。だからあたしも笑ってみせた。
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