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「貴方はずっとここにいるの?」
あたしに尋ねるながら、彼女は大きなスケッチブックを開いて絵を描きはじめた。
「うん。かれこれ500年は、この地を守り続けてる」
あたしも対抗してみようと木の葉と木のみと小さな枝で絵を描く。
「とっても昔からここにいるんだね」
「うん。あたしは本当は…あ」
思わず本当のことを言いそうになった。彼女にはすべて話しそうになる。あたしは思いがけないことに慌てて話を変えた。
「ねぇ、どうしてあんたにはあたしが見えるの?」
「ん?んー…何でかな?見えたものは見えたものだから判らないや」
「そっか」
全然根拠になっていない理由だけど、それ以上聞くことはしなかった。彼女は話している間にも手を動かしていく。
「できたぁー!!」
みて!と見せてきた女の子のスケッチブックに描かれた絵を見て驚愕する。
絵に描かれていたのは、あたしと10年くらい前に死んでしまった友達だった。二人は楽しそうに野山を駆け巡っている。
「これは…」
「これはね、妖精のワルツってタイトル!貴方ともう一人は…イメージが頭に浮かんできたの」
驚いて、開いた口が塞がらない。
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