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「この子は…あたしの友達」
彼女のことを思い出すだけで涙が溢れてくる。彼女はあたしを守るために命を失ってしまった。
「どうしたの…?何処か痛いの?」
女の子はあたしの表情をうかがう。とても心配してくれていた。
ジッとあたしを見つめる目はとても大きい。彼女の瞳に映るあたしは泣いている。心配かけまいと涙をぬぐった。
「大丈夫、なんだか懐かしくて」
「この友達は、今遠いところにいるの?」
彼女は首を傾げる。あたしはユックリと頷いて笑ってみせた。
本当は胸が張り裂けそうなくらい悲しいけれど、これ以上この子に迷惑をかけたくなかった。
「うん。会うには相当時間がかかるところにいるの」
あたしは空を見上げた。すると、女の子も同じように空を見上げた。
「寂しいね…。
でもね、もう貴方は一人じゃないよ。あたしが友達だからね」
彼女の方に視線を向ければ、彼女は無邪気に笑ってくれた。
「そうだね」
だからあたしも寂しいとは思わない。
それ以来、この女の子と過ごす時間が増えていった。
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