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「えっ……」
「あたしは山だから、この山が消えればあたしも消える」
ごめんなさい。最後の最後にごめんなさい。
不器用なあたしでごめんね。
折角友達になってくれたのに、消えてしまうあたしを許してください。
あたしの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。 彼女の目からも大量の涙が降ってきた。
「嫌だよ…!嫌だよ…。友達を一人にしないでよ」
彼女は駆け寄ってきて、あたしを手のなかに包み込む。
「ごめんなさい…。ごめんなさい」
悲しそうな顔をして彼女は首を横に振る。
どうか泣かないで。これ以上悲しそうな顔をしないで。
彼女は、あたしを解放した。
そして森全体に響き渡るような声をあげた。
「この山だけは消させない。貴方だけは消させないから。約束…」
フフッと彼女は消え入りそうな笑顔を浮かべて、あたしのもとから離れると手をスッと挙げて言葉を唱え始めた。
「森に住む生き物達よ、あたしに力をかしとくれ」
彼女がそういうと、動物達が彼女の周りに集まった。
その光景は以前にも目の当たりにしたことがあった。
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