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「セラ…?」
懐かしい友の名を呼ぶ。そう、こんなこと出来るのは彼女くらいだ。
「久しぶりだね、ユラ」
悲しげに、けれど懐かしそうにあたしを見つめる彼女は間違いなくあたしの友人だった。
「待って…貴方どうするつもり」
「貴方を守る」
彼女に会えた嬉しさと、こんなにも近くにいたことに気付かなかった自分に複雑な心境だった。
「あたしを守るって…貴方」
何をしようか大体見当はついていた。
けれど、まだわからない。
「工事をやめさせる。前みたいにはならないから」
彼女はかつてあたしを守ってくれた。
それも自分が命を捨てる運命を選んだのだ。
開発者のリーダーの夢に出て自分の山を選べば、良い結果をもたらすとか言ったらしい。
あたしが目覚めた時には開発は、あたしの山でなくセラの山で進められていた。
あたしは彼女に会いに行った。
その頃には既に彼女は弱りきっていた。
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