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矢沢千恵。俺と同い年の高校三年生の18歳。彼女は児童養護施設に住んでいたらしい。その養護施設の職員がすすり泣きしながら昔の話をしている映像がニュースで流れた。
『でも・・・』
その声に違和感を感じたのは、俺だけなのかも知れない。
部屋に戻って、夕べ彼女と交換しあった画像を見直して見る。小顔の可愛い、愛嬌のある矢沢千恵は、細身の体にショートカットの髪。どこの学校なのかわからないけど、制服を着ていた。
彼女のLINEも聞いて交換していた。
LINEを開くと、彼女から幾つかの画像とメッセージが送られて来ている。
それに気づかなかったのは何故なのか?俺は考えるよりも先にLINEのメッセージを確認した。
メッセージには、『亮君の好きな物は何?』と書かれていて、その下の画像にはチーズケーキと『私の好きなもの。チーズケーキ』と書いてあった。
そこには、あの時に教えた俺の名前、成田亮の名前を覚えていてくれた。
次の画像には、『この手紙を読んでほしい』と、レポート用紙に何かを書いた画像とメッセージが。その次は、『お家に着いたのかな?』というメッセージと、どこかのお店の画像が送られていた。
それから、残り3通のメッセージが送られて来ていて、最後のメッセージには『泣いて・・・』と書かれて、真っ暗な闇に写る動画は海岸の映像だった。
俺は、この画像を警察が見たら、家に来るだろうとヒヤヒヤしたが、一向に警察が来る気配は無かった。むしろ、そっちの方が心配になり、気持ちが落ち着かなかった。
ふと、画像と一緒に送られてきていたメッセージを思い出した。
──手紙を読んでほしい──
彼女のメッセージに書かれていたこの言葉が気になって、画像を見直して見る。
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