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メッセージの『この手紙を読んで』と書かれているメッセージの画像は、レポート用紙だけど、その周りに写っている家具類はどう見ても、最初のチーズケーキの画像と同じ場所に思えた。そして、チーズケーキが盛られている皿には、店名らしき文字が書かれていた。
その文字を拾い検索してみると、鎌倉にある小さなカフェの名前だとわかった。
しかし、3通目の画像に写っている店とは違う。3通目の店名は鎌倉小町通にある、抹茶のソフトクリームで有名なお店だった。
その次の3枚のうち2枚は暗闇の中に写るネオンの光と、どこかの駅が写されていた。
駅は《稲村ヶ崎》と書かれているのが読めた。
そこまでわかった時、彼女の死亡を伝えるニュースが鎌倉の稲村ヶ崎の海岸であったことを思い出した。
ネオンの光が何かわからないけど、どうも、何かのお店のようにも見えてきた。
建物の一部が青い外壁に見える。そこに何があるのか意味不明ではあるが、彼女はそこにも何かメッセージを残したのかも知れない。
ふと、今自分が、彼女の残した画像とメッセージを頼りに、彼女の足跡を辿ろうとしている自分に気がついた。
『それも良いかも・・・』
12月の年末を迎えた街に興味は無い。両親を含めて、まだ自分を本当に必要としているか自信が無かった。けど、彼女、矢沢千恵は違った。俺にメッセージを送りつけ、『この手紙を読んで』とまで書いてきているのだ。
死んでしまった彼女だが、今は彼女だけなんだ。俺に期待をしてくれているのは。それに応えるべきなんだ!
『それに・・・』
人間とは不思議なもので、名前を覚えてくれた人に感謝の意を示したいと思ってしまう。
そう感じた俺は、家を飛び出していた。
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