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彼女が食べた物と同じチーズケーキを口に入れる。彼女の残した手紙の最後の言葉はどういう意味なのか。彼女は最後に何が言いたかったのか。そして、彼女の最後の願いは・・・。
『俺に自分の事を知ってほしい・・・』
カサカサと音がした。ぼんやりとした視力でテラスの上に目をむけると、少し大きいリ野生のリスが近くを走り回っている。周囲を見回すと、冬支度をした木の幹を、リス達が走っている。その動きは、何か一つ一つ確認をしながら次へと向かって動いているようだった。
「あっ・・・。俺も彼女の足跡を確かめながら・・・」
自分でも訳の分からない事を呟いたと思っている。呟いたと思っているけど、それが今の自分の気持ちだ。なら、ここから始まりだ。俺はカフェのある山を下りた。
再び駅に戻ると、次の画像にあったソフトクリームの店に向かった。そこは小町通りの中にあるお茶屋さんで、そこで売られているソフトクリームは絶大な人気を誇っていた。昼間から軽く行列が出来ている。俺も並んで一つ買ってみた。
冬空の下のソフトクリームは冷たい!凍る!
そう叫びたい心情を抑えながら次に向かおうとした時、ふと思って店員さんに矢沢千恵の顔画像を見せて、自分宛てに何か残していないか聞いてみた。
「あぁ・・・。あの時の面倒な女の子・・・。たしかに、店長にそんな事を話していたけど、ウチはそういうお店じゃないからって、断っていました」
店員は次のお客対応へレジに入った。
『彼女はこの店に何を残したかったのかな・・・?』
ただ甘いというだけのお店じゃない、このソフトクリーム屋に、彼女はどんなメッセージを残そうとしたのか・・・?
俺は店員の女の子に、4枚目の写真を見せてみた。
「この写真なんですが、この辺にありますか?」
彼女の答えは、『NO』だった。
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