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140字SS 61-70
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雪が降る。
様々なものを白く覆い尽くす。残るは黒い影ばかり。
さくさくと夜道を歩いていると、笠を被り蓑をまとい、提灯を下げた童がいた。
「おや」
「久しぶり」
白いコートに黒の上下。景色と同じ色彩を纏った僕は、昨年一度この異界に迷い込んだ。
「あの時のお礼を、持って来たよ」
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「子供と家畜を家の中へ!」
切羽詰まった声が響く。
「飛遊タコの目撃があった!」
空を泳ぐクジラがいるのだ。地上を泳ぐタコもいる。敏捷で賢く肉食の上、その擬態能力はとんでもなく高い。
(たしかタコの弱点は…)
眉間。壺。それに。
(淡水!)
旅人は水の精霊を呼び集める。
天へ昇って雨を呼べと。
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死後の裁判で有罪となった。
『お前の呪いでAは大怪我、Bは重病』
待って。確かに人を呪った事はある。
でも私が恨んだのはCとDだ。
ABの不幸は、私と関係ないはずだ。
『……お前がノーコンでも、罪は罪だ』
ノーコンて。
確かに球を投げればあさっての方に行くタイプだったけど。
いや待って。ねえ待って。
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「貴様、どうやってここへ⁉︎」
「彼女が私を呼べば、いつどこにいても駆けつける。そう契約した」
その約束が100年前でも1000年前でも。
彼女が覚えていてくれるなら。呼んでくれるなら。
ずっと縛られていよう。喜んで。
「コレお1人様2個までなのよー」
今生は随分と呼び出しが多い。平和万歳である。
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「ねえ、2人で楽しいことしない?」
知人女性からのお誘い。
「楽しい?」
「あなたが知らない世界よ」
まあいいかと行ってみると。
「フランスの作品にはね、アブストラクトが多いの。将棋みたいな、運要素のないゲーム。たいてい2人用」
彼女はボードゲームマニアだった。みっちり5時間遊んだ。
それが、付き合い出したきっかけだよ。
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国が保護している竜が卵を産んだ。
これで三千年先まで安泰だ、と国民たちはお祭り騒ぎ。お祝いにきた隣国の竜はこっそり囁いた。
『お前の所の人間どもは単純だな』
『まったく。飼い主として当然面倒はみてやるが……最近少し増えすぎだ、少しいらないか?』
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私には、人には見えないものが見える。
最近気になるのは、美術部の彼女。
肩甲骨の下から、植物の芽が出始めた。やがてそれは羽のように葉を広げ、花を咲かせる。
彼女が描いている絵が完成した時、背中の花は散る。
きっとあれは彼女が抱く情熱の形。
今回は白い花だった。次は何が咲くのだろう。
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「誰かを傷つける真実より、誰も傷つけない嘘の方がいい」
「いつも本当の事を話す人より、優しい嘘がつける人と話したい」
大抵の人はそうだよね。その方が安心できるから。……でもね。
「あなたは嘘をつかない代わりに、相手を励ます真実を選んで、口にする」
だから、好きになったの。
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「完璧だと思ってた人の一点を嫌いになると、一気に全部嫌いになるの、なんなんだろうな」
「野菜ジュースにレモン汁一滴入っても大した事はない。しかし紅茶にレモン一滴入ると味が変わる。
つまり完璧だと思ってた相手の僅かな面しか元々知らないから、全部が簡単に塗り替えられる」
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人の心は物語に弱い。物事に理由を求めるから。何故自分がこんな事に? あの人はどうしてあんな事を? 心の安寧のために、物語は作られる。
「というわけで君には犯人になってもらう」
何でも屋協会は、報酬次第でどんな役でも引き受けます。あなたに必要な物語の登場人物として。
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