女難の相

　サイレンの音が繁華街に鳴り響いた。
　赤色灯を回転させながら、占い師の前を走っていく救急車。
　ちらりと見えた救急隊員の顔に、強い女難の相が浮かんでいた。
　よくよく見れば、看板を取り囲む人々の何人かにも同じ相が出ていた。
「どういうこと？」
　次の瞬間、占い師は慌ただしく片づけを始めた。
　彼女は気付いたのだ。
　繁華街に並ぶビルの上には、まだ幾人もの女が笑顔を浮かべているという事を。

　サイレンが止まり、俄かに人混みが慌ただしくなる。
　その時、強い風が吹き抜けて……。