2・ケインズの予言と正月太り

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2・ケインズの予言と正月太り

「はっ!? 今日は何日? 出よ藤村! 正月太り!」 「正月太りしたのアンタでしょう……こんにちは藤村です。今日は10日、日曜日っすねぇ」 「3連休なのに、ちっとも休めてる感がないのにゃー!」 「正月明けのお仕事で、相当へばってましたもんね」 「それにしても体重はここ最近ではMAXに近い感じ。書きたいお話も滞ってて、私は何の為に生きているのにゃー!」 「その変な語尾を見るにつれ、ほんとストレス溜まってるんすねぇ。さて今日は、何の反省をしますか?」 「特に反省すべき点は無いな」 「いつものことですね」 「どっかで読んだんだけど、人が死ぬ時に後悔するのの代表的なひとつが、『あんなに仕事ばっかりするんじゃなかった……』らしいんだよね。その気持ち、今の私もめっちゃ分かるよ」 「好きなことだけで生きていくっていうのも、なかなか魅力的なキャッチフレーズではあると思うんですけど……」 「前年のここでちらっと話したと思うんだけど、NHKでやってた台湾のIT大臣・オードリー・タンと落合陽一の対談で、『経済学者のケインズは、100年後にはお金のために労働する必要が無くなる』的なことを言っていたんだよね。それに対してオードリー・タンが、『その予言から90年経ちました。残り10年で、充分そうなる可能性がある……』って」 「おおー」 「シンギュラリティって呼ばれる、AIが人間を超える技術的転換期があるとされているんだよ。それが2045年に起こる、って言われてるね。今から24年後だ!」 「どうなるんでしょうかね」 「それは藤村くん、今の学生諸君たちくらいの世代が決めていくことになるだろうね。頑張って勉強しないと」 「お金のために仕事しないで済むとなったら、どういう世界が待っているんでしょうね」 「完全にパラダイスという訳には行かないと思うな。だけど、自分の可処分時間が増えることは、それは幸福に近づける要素の一つになるんじゃないかな?」 「ケインズの予言が10年後……シンギュラリティの予想が24年後……」 「いやー充分に可能性、あると思うな! 役所のハンコも基本、要らなくなったし!」 「ハンコについては、やっとかよ! って感じですよね」 「河野太郎の鶴の一声だったけど、正直、『やりゃー出来るんじゃん!』って感じだよね! 納税ですら、24時間オンラインで出来るようになってるんだから、もうこの世のだいたいはそういう処理でいけるようになるんじゃないかな!」 「で、そういうシステムも、どんどんAIが構築していくことになると……」 「ほんと人間、要らなくなるよね。今プログラムの勉強とか、小学生からやらせているらしいけど、プログラムの本当の意義って、『明確なビジョンと、最適な命令』のしかた、だと思うんだよね」 「人がコンピュータに支配されない意思、ってことですかね」 「スマホ漬けになってるようじゃ駄目なんだよ。それと、今まで人に対して、『良きに計らえ』的な、ふわっとした意志の伝え方が全く通用しなくなる、ってことだと思うよ。『こういう結果を求めているから、こういうふうにしなさい』って、完全な意志と命令が必要だよね、って」 「今日はずいぶんと、真面目な話になりましたが……」 「たまにはこういうのもいいでしょう! 今日はもうジャンクな食べ物とかをお夕飯にして寝たいー!」 「また太りますよ」 「いやー!!」 「3連休で、まぁ明日もお休みですし、その辺は何というか、良きに計らって……」 「書きかけのお話とかも出来上がりにしたいし、今日はまぁいいかー。そんな感じで! また明日、お会いしましょう!」 「本日もここまでお読みいただき、ありがとうございました!」 (2・完)
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