5・初詣

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5・初詣

「さて関東では春一番の強い風も吹き、徐々に春の気配が近づいてくるのが感じられますね。それではまた来週この反省部屋でお会いしましょう! ではまた!」 「なに唐突に一行で終わらそうとしているんスか……」 「呼んでもないのに出てくるなぁー。藤村ぁー!」 「何だかアンタが、呟きで『デートしてきた』とかって言うから……ちょっとその辺、総括してもらいましょうか?」 「いったい何のことなのかなー???」 「何をとぼけちゃってるんスか……このお侍さんは。デートとかあれっすか? 脳内で完結しちゃったやつとかですか?」 「そういうことにしておこう! 藤村くん!」 「いやいやいや、そういう誰も納得しない状態で終わらさないでくださいよ!」 「話したくねぇー!」 「じゃぁ呟いたりしなきゃ良かったじゃないスか!」 「ほんとそうだよね! 私なに舞い上がってたんだろうね!」 「このコロナ禍のなかで……なにお出掛けなんてしてくれちゃってるんですか」 「ほんとそう思う! だから止めよう! この話!」 「いやいやいや。ええと、令和三年一月三十一日、伊勢山皇大神社、奉拝横濱総鎮守とかありますが」 「人の御朱印帳を勝手に読み上げるんじゃない! 藤村!」 「これは……横浜の桜木町の神社ですかね?」 「うー。まず結論から話しようか」 「はい」 「これは完全に私の片想いだ。藤村!」 「はぁ」 「なので、このお参りは、初詣ということになっている」 「……はい」 「もうサー。アタシったら、先週のー↑? いま頃ー↑? もう行きたくないなーとか思っちゃっててサー」 「何で唐突に桃井かおりのモノマネ始めてるんすか」 「ふじむらー」 「はい」 「何やったら勘弁してくれるのー↑?」 「とりあえず1ミリも伝わってないモノマネやるのやめてもらえますかね」 「話したくねぇー!(2回目)」 「行きたくないなぁとか思いながら、結局行ったんスか?」 「いやもう……先週の金曜日とかに、急に話がまとまったのかな? そっからもう、パニックよ。何着ていけばいいんだろう、とか、この髪でいいんか! とか」 「はあ」 「誕生日が12月の人だから、しばらく会ってなかったし誕生日プレゼント、ラッピングはこれでいいんか? とか」 「はい」 「何で私、今年はこんなダサいコート着てるんだろう、とか。そもそも私って存在自体がどうなのよ!? とか」 「そんな根源的なところまで!?」 「それと、話あっちゃこっちゃ飛ぶけど」 「はい」 「今これ書いてて、普段まったく食べないような砂糖菓子を完食してる自分にびっくりだよね!」 「甘いもの苦手なのに!」 「思い出すだけで、あの時のしんどさを無意識に解消しようとしている自分がいるよね!」 「いやー。『自分がしんどい時は、相手もしんどい』って言うじゃないですか。そこまで思い詰めて、重くないっスか?」 「もう重いとか軽いとか超えちゃってるよね……待ち合わせの駅で、姿を見たら、こういうふうに笑ってこういうふうに手を振ろう、とか、全部シミュレートとかしたよね!」 「シミュレート通りに出来たんスか?」 「……後ろから、肩叩かれて『久しぶり!』とかって言われて、もう、ワヤですわ」 「はぁ」 「横浜って坂の街だからさー。伊勢山皇大神社まで歩くの、勾配で息上がっちゃってる私なんてさー。もう『消えちゃえばいいのに!』とかって思ってたよね!」 「……でもまぁ、ちゃんと初詣は行ってこられたんですね」 「今週はもうガタガタだったよ。こんのクソ忙しい時期に、1日休んじゃったよ」 「そんなに気を張ってたんですか?」 「張ってたみたいだねー」 「当分、会えない感じなんですかね」 「うー。『桜が咲いたら』なんて話はしたんだけど」 「桜。意外と早いかも知れないっすね」 「早桜の河津桜とかなら、再来週とかにも?」 「思ってた以上に早!」 「また色々悩むんだろうなー。しんどいなー!」 「いいことなんじゃないですか? 会えるんなら」 「字数的にも内容的にも、こんなもんで勘弁してもらえるかな?」 「僕はいいですけど、読者さんが何て言うか……」 「そんなヤザワみたいなこと言われてもなぁ! とりあえずこんな感じで! いちおう明日も更新の予定!」 「今回もここまでお読みいただき、ありがとうございました! いいのかなぁ。ほんとに、こんな感じで……」 (5・完)
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