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「ジャック!あんたまた夜中におやつ盗み食いしたでしょ!!」
翌日。
目の前の看守――という名の飼い主の言葉に、俺は知らんぷりしていた。
はてなんのことだろうか。自分はずっとこの檻の中で大人しくしてあげてましたけど?そんな涼しい顔をしていると。
「誤魔化したってダメ!キャットフードが台所に散乱しまくってるし、リビングまであんたの肉球の足跡がばっちり残ってるんだから!あんた、ウェットフード踏んだ足で逃げたでしょ!?」
「うにゃ?」
「うにゃ、じゃなーい!」
おっといけない。俺は自分の前足の裏を確認し、ため息をついたのだった。確かに棚の中のおやつを盗み食いしてひっくり返し、揚句いくつか踏んでしまったような気がしていたが。まさか足跡などという証拠を残していたことに気づかなかったとは。
「なるほど、わかった。次は足跡なんぞ残さないように気を付けて盗みに入ることにしよう」
俺が堂々と宣言すると。猫の言葉なんぞわからないはずの彼女は、ぷんすかと怒って言ったのだった。
「あんたね、絶対反省してないでしょ!?少しは学習しなさいよ学習!」
あんたそれ、ブーメランだからな。俺は呆れ果て、にゃおう、と鳴き声を一つ漏らしたのだった。
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